2012年2月28日火曜日

マタギを超える

巨大イワナ、想定以上の活況、主客ともに驚愕の日々であります。特にミノーで狙った方には確実の結果が出でいるようです。昨年は尺イワナを存分にご堪能いただいたWalton Gardenでありますが、今年は更なる大型、40㎝を平均として50㎝級も混在します。今を除いては未来永劫に拝めない逸品、この週末も100尾放流します。昨週は放流直後の個体がミノーをまる飲みしたとのご報告がありました、小生としても報われる放流であります。

東北各地に狩猟を業としているマタギと呼ばれる集団が存在する事はご存じだと思います。山を崇拝し獲物に尊敬と感謝を忘れない、自然と共存する独特の信仰に裏付けされた猟を営む集団であります。人間嫌いの小生が敬愛し続け、、彼らが住むという土地を旅したり、家を建て替える時はマタギのシカリの住家風に大きい囲炉裏をきったエントランスにする事を計画したりと、酒が進むとカミさんにもこの話をする事がよくあります。雪渓に登れない、沢を渡れない、鉄砲が撃てない、獣の解体もできない、マタギのマの字もできないくせにであります。ただ彼ら独特の文化やそれを取り巻く風土を敬愛し、文化人類学的な見地で興味を持っているだけでありますが。

ところでそのマタギの人々、初夏等には川で漁も営んでいたとの記述があった事を記憶しています。奥羽山脈の奥の奥、深山幽谷を分け入り、源流が流れ落ちる滝壺の深場で大イワナを釣っていたかもしれません。そんな彼らが当池の巨大イワナを見たら何と言うか、関東平野のトイレ付きの釣場で、車を降りて1分で、普段着で、女性子供同伴もあるような、そんな短絡的な所で、自分達が年に一度出会えるかどうかの2尺にやや欠ける巨大イワナを、きっと彼らが表現するであろう「シロウト」の集団が笑みながら釣っている、嗚呼何と嘆かわしい事か、マタギ達のため息が聞こえてくるような、そんな今日この頃の、恐縮極まりないWalton Gardenであります。

2012年2月23日木曜日

創業の原点

季節は確実に春に近づいているようです。季節の変化に人類よりも鋭敏なマス類はその事をよく知っているよう、極めて高い活性が見て取れます。当池もやや透明度が増し、巨大イワナのチェイスする様子がうかがえます。釣人を嘲笑するかのような、愚弄するかのようなチェイスであるようです。かくなる巨大イワナの放流は当分続きそうです。

昨日秋田県に出向いた帰路に大好きな磐越自動車道を通りました、郡山を過ぎたあたりからの風景が好きなのであります。何度も申し上げるように、東北の郊外には日本の原風景があります。Fukushimaになってしまった福島にも変わらぬ風景が広がっています、向井潤吉画伯が写したような風景が車窓から眺められる自動車道であります。

この様な日本の原風景は子供の頃から好きでした。山と川と水田で構成されるその風景を眺めているだけで心が平安になります。この風景が未来に継続されていく事が、我が国が平和である事を物語るのだろうと考えています。ヤマメやイワナが川に泳いでいる事が、国土が健全である事の象徴とも考えます。思えばこの辺の感覚が創業の原点でありました。開発により河川が汚濁され在来の魚類が生息できなくなって行く、これは止めようもない時代の流れであります。並以下の能力の小生としては、かつてそこらに生息していたであろう魚類を養殖し携わりながら、失われつつある河川環境に警鐘を鳴らしていければと思いました。昔はこの川にヤマメと言う美しい魚がいたんだ、とならない事を願いつつであります。

ヤマメやイワナに対してWalton Gardenのお客様とは違った接点を持つ小生でありますが、主人と客人の不均衡なバランスが当池の一番の特徴であります。

2012年2月16日木曜日

対酒当歌 人生幾何

何故か釣果は上向きであります。季節は確実に春に向かっている事をマス類は知っているのでしょう。巨イワナも程よく釣れて、小生のストレスも完全に払拭されました。この週末も100尾の放流を予定しています。

先月から池入れしたアユ稚魚も順調に育ち、極めてよき日々が続いています。年末に肝機能の数値が高いと医者に指摘されて、やや控えめにしていた酒量も従前に増して来つつあります。小生の主治医は女医であります、芋焼酎の馥郁たる魅力なぞ分かるはずもない女医ごときの言に惑わされる事はない、酒がうまいという事は肝機能が回復している証拠、気分のいい時はたらふく飲むべし。
三国志のヒーロー曹燥も詠んでいるではありませんか、「酒に対してはまさに歌うべし 人生いくばくぞ」と。

2012年2月9日木曜日

幻の巨大イワナを喰う

巨イワナの放流は様々なドラマを演出しているようです。お1人で4匹も釣り驚嘆あいまって買ったばかりの6万円のリールを踏んで壊した方、晩酌には巨イワナの刺身と決め込んで意気揚々とご来店なさり意気消沈で帰宅された方等。先週放流した100尾は知る限り20尾程度しか釣られていない様、まだ多くが残存しています。警戒心の強いニッコウイワナ、それも50㎝超となると猜疑心に満ち溢れた個体群のはず、しかし放流後1週間を経て居心地のいい付き場に陣取り、貴殿の投げ放ったルアーの真贋を虎視眈々と見極めているはずです。
明日(金曜日)に更なる100尾を営業中に放流します。先週は金曜日の閉店後に放流したためその現場をお客様にご確認していただく事ができず、こちらはお客様の猜疑心を助長する事になりがちと判断したためです。

前述のように、イワナの刺身を食す事がご希望のお客様が多くいらっしゃる様です。十分な量をご提供しているとは言え釣果が不幸に終わる事も考えられます、そのためこの週末はストック池に備蓄している群を1尾500円の破格で販売します。魚を得る手段によって魚の本質は変わりません、是非ともご賞味下さい。酒肴としての食し方、店頭にて小生がご伝授いたします。