2010年3月11日木曜日

ドナルドソンを放流します

開業以来多くのお客様に「ドナルドソンは放流しないのか」とのご質問をお受けいたします。はたしてどれだけの釣人にこの魚の事を正確にご認識いただいているのか疑問なので、今週末にその見本となるような個体群を放流いたします。ドナルドソンはワシントン州立大学のDr.ドナルドソンが、色々な特色を持ったニジマスを固定化させた研究の産物で、一般的に氏の名前をとってそう呼ばれています。通常のニジマスは年に1回成熟しますが、氏はその成熟に特色のある次の3種類の系統を作出しました。
A. 年に2回成熟する系統。
B. 2年に3回成熟する系統。
C. 3歳魚でも成熟しない系統。

これらはいづれも約40年前に日本に輸入されましたが、A.とB.の系統は利用価値が少なく消滅してしまいました。多頻度成熟の個体から採卵した卵は粒径が小さく、孵化率等が低かった事が原因と考えられています。最後のC.の系統はいわゆるオクテで、摂取したカロリーを全て増肉に費やす事により通常より早く大型になりやすい特徴があります。この系統が釣人が言う所のドナルドソンであります。あくまで系統なのでニジマスである事に変わりはなく、長身の両親から長身の子供が生まれる可能性が高い事と同じです。しかし輸入当時から雑化が進み、当時の面影を持つ本系統は少なくなっていると言われています。

今回ご提供するドナルドソンはその純な系統から逸脱することなく繁殖されてきた群で、体長は40~50㎝程度ですが、うすいグリーンの体表にスティールヘッドと見まごう銀鱗でおおわれた魚体がまぶしく光っています。この見かけの特徴はドナルドソンである事ではなく、当時北米に生息していた原種の野性味を色濃く残しているからだろうと考えています。門外不出の逸品であります。